「虫と共存する庭づくり」虫や病気との付き合い方
「フローラルガーデンの庭仕事」H29年7月21日の内容です。次回は8月18日「夏に活躍する植物」ハーブと暑さに強い多年草。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉 株式会社フィーカ 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー)
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで
「虫と共存する庭づくり」虫や病気との付き合い方
Why plant get sick ? 〜 なぜ植物は病気になるのか? 〜
植物は生き残る術を知っています。あなたが季節を通じて出会う虫や病気は植物にとって数少ない落とし穴です。それを避けるために必要で、よく知られている、植物を健康に保つ方法は、あなたのガーデンを健康に保つことです。植物は警告を発しています。それを見逃さないようにしましょう。
by Chistine and Michael Lavelle
1、ダメージの原因
不健康な植物には虫や病気が寄ってきます。虫や病気によって弱ったように見える植物はその前に環境によってダメージを受けている可能性があります。虫や病気が寄ってきた原因を探ることは健康な植物を育てるために必要なヒントを得られます。
① 凍る(Frost)
寒い空気がたまるフロストポケットにより、柔らかい芽が傷み、植物にダメージを与えます。また、土が凍ることで給水が出来ずに根が傷みます。特に半耐寒性の木質性多年草は凍ることにより、枯死することがあります。ボーダーラインは−4℃。
② 水たまりと水不足(Waterlogging and Drought)
土の中に貯まっている水を植物はその都度必要な分のみ吸い上げて健康を保ちます。しかし、根が水に浸ったままの状態では健康を保てず枯死してしまうこともあります。雨が少ない夏では植物は水不足によりダメージを受けます。成長が遅くなったり、細胞がつぶれたりして健康に成長できなくなります。
③ 風(Wind)
風によるダメージは樹木やシュラブによくあります。強い風により、幹が割れたり根が上がってむき出しになったりして植物を弱らせます。
④ 光のアンバランス(Light imbalances)
植物の成長には光を受けることが必要です。日向を好む植物は日陰ではしばしば青白くなります。逆に日陰を好む植物は強すぎる光で葉を焼きダメージを受けます。その植物の成長にちょうど良い光の量で育てることが大切です。
⑤ 栄養のアンバランス(Nutrient imbalances)
植物は栄養バランスが崩れるとそれぞれ異なる症状を出します。成長が阻害されたり、葉色が悪くなったり(斑点を含む)、葉が枯れ込んだり、歪んで成長したり、根が育たなかったり。その症状は始め小さな部分から始まります。多くの栄養は過剰に与えすぎると植物にとって有害です。
⑥ 汚染(Pollution)
汚染物質は葉を茶色く変えたり落したりします。土壌汚染は植物の成長を阻害します。通常考えられる土壌汚染は、酸性やアルカリ性に偏った物質、化学物質、塩化物質(融雪剤等)、殺虫剤、除草剤などです。単に土壌の酸性度のみの問題なら土壌改良で対処出来ます。
⑦ 虫と病原菌(Pests and Diseases)
虫や病気は健康な植物にも取り付きます。ストレスの下で成長している植物は本当に健康な植物といえません。虫や病気をコントロールする一番良い方法は、あなたが兆候を見つけたらすぐ迅速な行動をすることです。
2、植物につく虫
虫はあなたが気を付けていないとあっという間に深刻なダメージを植物に与えます。しかし、虫と戦うようなことはオーガニックガーデナーとしてはしたくありません。共存する方法として、その植物を守る植物(コンパニオンプランツ)を一緒に植えることや植物を健康に育てることで丈夫にすることなどがよく知られています。
① その虫は大丈夫な虫?心配な虫?
生産者として栽培する場合と家庭で栽培する場合では虫に対する感じ方も違います。自然の中でコントロールされている虫は問題ないと言えるでしょう。現在虫がついていなくても動物(人間も含め)が食べる植物には虫が発生すると考えてよいでしょう。
② 虫を理解すること
重要なことはあなたが育てるずっと前から植物は虫と共存していたということです。虫をコントロールするたったひとつの道は彼らを理解すること。多くの虫にはその虫が好む植物があります。注意深く観察し、彼らより一歩先を行くことでコントロールが可能になります。
③ コントロールの選択肢
虫が問題を起こす前に対処することが重要です。夏の初めに発生した1匹のアブラムシをそのままにしておくと初秋には2,000,000,000,000,000匹になります。しかし、虫の増殖はコントロール可能です。栽培管理(栽培地ローテーション、衛生環境を整える、生物多様性)や実質的な管理(手取り、トラップ、忌避剤、バリア)、生物学的管理(自然界で虫を食べる他の生き物)などによりコントロールします。
④ 虫を大目に見ることが出来る?
私たちが一番気をつけなければいけないのは過度に心配することです。害虫と呼ばれる虫も自然界の虫の一種です。彼らはオーガニックガーデンの中の多様性を作っているメンバーの一員だということを覚えておいてください
3、植物がかかる病気
病気の早期発見で広がるのを防ぐことができます。日常的にチェックするようにしましょう。どんなサインも見逃さず、虫眼鏡を使ってしっかり観察。最初が肝心です。
① 病気を確認すること
警戒することは植物の病気のコントロールを成功させるカギになります。注意深く、葉や茎、根、花や実を観察しましょう。また、植物を栽培している環境も確認してみましょう。ストレスのある環境で育てることは植物を弱らせる原因になります。植物が病気になった原因を見つけて環境を改善することで病気を治すこともできます。
② コントロールの選択肢
天気や環境により影響を受けやすい場所や植物はどこか把握し、深刻な病気が疑われる場所を日頃から知っておくことが大切です。年間通してあなたのガーデンに発生する心配事を予測して対処できるよう準備しましょう。病気は窮屈に混植しすぎるところで発生しやすいので、植物を植える時は空間を開けてできるだけ風通し良くしましょう。
〈参考文献〉
the organic gardener / chistine and michael lavelle