FIKAとデザイン
スウェーデン人のデザインの源はFIKA?
ローゼンダールガーデンのカフェ
ストックホルムの中心から郊外へ。ユールゴールデン島の中にあるローゼンダールガーデン(Rosendals Trädgård)を訪ねました。冬の訪問は初めて。野菜畑が広がる森の中の散歩道。夏には色使いがシンプルで美しいガーデンと温室の中の素敵なカフェで賑わう観光地ですが、冬はどんな感じなのか。静かな冬のガーデンを想像しながら近づいていくと、夏には気づかなかった円形の林や迷路など、葉っぱがない今だからこそ見える風景がそこにはありました。
温室の中のカフェはいつにも増して賑やかです。焼菓子の種類も夏より多い?冬に休業する観光地が多い中、ほぼ1年中開いているローゼンダールガーデンは冬の人気スポットのよう。早めにテーブルについて正解。次から次へと人が増えてきます。スモーブロー(スウェーデンのオープンサンド)やパンとスープでランチ。お菓子は食べたいものをひとつずつ取って味見。焼菓子のバリエーションの方が多くて迷います。
外は冬枯れのガーデン。みんなお茶とお菓子を楽しむためにここへ来ているのは明らかです。
シンプルで飾らず、控えめでいて主張する
スウェーデンのデザインの特徴は?と聞かれるといつも迷います。言葉で表現しにくいものばかりだから。
これといってわかりやすいデザインではなく、とてもシンプル。ちょっとしたラインの位置や幅。色のトーン。なんとなく感じる心地よさ。どれもぴったりと当てはまっていて、妥協がない。
ローゼンダールガーデンのお菓子はそんなスウェーデンのデザインそのもの。見た目には街のコンディトリと変わらないような気がしますが、食べてみるとその違いは歴然。街のコンディトリのお菓子がおばあちゃんの手作りレシピの暖かさを感じるお菓子なら、ローゼンダールのカフェは最先端のデザインを見せる都会の真ん中のブティックのよう。味のバランスが素晴らしい!
FIKAとデザイン
スウェーデンの人にとってFIKAは特別な時間。単なるお茶の時間ではないらしい。ONとOFFを切り替える。議論を深める。つながりを確かめる。時間に追わて自分を見失わないように、自分自身の考えやあり方を問い直すために、お茶とお菓子を利用しているのかもしれません。自分が本当に求めるものは何か。スウェーデン人の洗練されたデザインはFIKAの時間が生み出していると言っても過言ではないと思います。
自分と向き合う時間と感性を刺激する豊かな自然に触れる空間。お茶とお菓子を楽しむ場の選び方にもスウェーデン人のこだわりが感じられます。都心からすぐそこなのに自然豊かな環境を体感できるローゼンダールガーデン。ここはまさにFIKAをするためにあるような空間です。